COLLINS LYNCH WATSON


Title : COLLINS LYNCH WATSON
Artist : COLLINS LYNCH WATSON
Cat No : SVTP-002
Release Date : Nov. 4th 2015
Format : CD/Digital
Recorded by : Joshua Whitehead
Mixed by : Collins Lynch Watson
Mastering by : Chihei Hatakeyama
TrackList
1. Don’t Be Long
2. Building A Home
3. The Long Winter
4. Best Not To Mention This To Anyone
5. The Horse That Bolted
6. Only The Dead Have Seen The End Of War
7. A Watched Pot Never Boils(Bonus Track For Japan)

まだ見ぬ映画のための ーあるいは、完成されない人生のためのー最も美しいサウンドトラック。

オーストラリアにて結成されたポストクラシカル・トリオ、COLLINS LYNCH WATSONの1stアルバム。
柔らかなピアノから始まる本作は、ギター、ストリングスが加わるに連れ一層音の深みを増していきます。テクスチュアルなループが全体の空気を包み込むと共に、かつてcity center officesよりリリースされていたKukka兄弟によるプロジェクト「The Gentleman Losers」を彷彿とさせるギターサウンドが広がり、遠く囁くように響いてくるストリングスと相まって、在りし日の甘く苦い記憶を呼び起こすようなサウンドを形成しています。

サウンドトラック・アンサンブルの名を遺憾なく発揮し、Brian Enoの即興性と実験性を内包しながらもThe NecksやDirty Threeなどオーストラリアの原風景を想起させる本作は、ポストクラシカルというジャンルながらも、人間の持つ美しさだけではない内面性をフォーカスしているようにも感じられます。
例えるなら本作は、ファーストキスから失恋に至るまでの、あるいは完成されない人世のためのサウンドトラックと言えるでしょう。

COLLINS LYNCH WATSON is an instrumental soundtrack ensemble from Melbourne, Australia formed in late 2014 by multi instrumentalists Nathan Collins, Chris Lynch & Andrew Watson.Mixing Piano, strings and guitar with textural loops, COLLINS LYNCH WATSON evokes soundtracks to movies yet to be scripted, first kisses yet to be dared kissed and all the heartbreaks that will inevitably follow.

Using with a blend of piano, violin, guitar and sonic textures, their sound has been said to recall Australian forebears such as The Necks & Dirty Three through a prism of influence from the works of
Brian Eno, Yann Tiersen, Gusavo Santaolalla and other further afield influences.

Press

Tower Records intoxicate #118 Oct 2015

アルバムを聴き終える頃には、映画1本を見たかのような聴後感を残してくれる。

Pen No.395 「保存版 こだわりの靴と時計。」Nov 16th 2015

甘く苦い記憶がよみがえるような濃密な時間が訪れる。情緒的で美しい音の芸術品。

NHK日曜美術館 番組内O.A. 6th Dec 6th 2015

神奈川新聞掲載連合通信社 Jan 20th 2016

豪州から届いた音の芸術品。

Tower Records Online New Age Reccomend Sep 9th 2015
HMV Online Alternative-Punk Recommend Oct 28th 2015

Journal

子守唄は死ぬこともできない双子へ (あるいは果たされぬ再会のために)

僕の探し物は、その棚には収められていませんでした。
とあるCDショップのサウンドトラックのコーナーには、作品同士の意味合いや文脈を決定的に欠いた状態で、多様な音楽が平然と共存しています。何せ『拘束のドローイング9』と『ゴジラ』が 横に並び、『ゴッド・ファーザー』と『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』がそれに続いているのですから。
「映画」という共通項は一見強固な絆のようで、その実はかなり不安定な平穏であることを、棚を眺めている人たちはどれほど認識しているのでしょうか。

とは言え僕も、どうやらその一員には違いなかったようです。ここにあの音楽が存在していて欲しい。そんな微かな希望はしかし、もうひとりの僕が下していた冷静な想像に歯向かうことはなく、 見事に打ち砕かれていきました。お前の探し物はここにはないのだ、どうしたって。そのことは しっかりと理解していたつもりでしたが、いざ現実を目の当たりにしてみると、僕は何故だか深 い落胆を感じずにはいられませんでした。

その音楽は何故そこで見つからなかったのか。その理由はあまりにも簡単で、それを聞いたあな たは思わず口許を緩めて笑うかもしれません̶̶̶その音楽は「映画」を手にしていないのです。 「映画」を持たない音楽がサウンドトラックの棚に並ぶことは当然できません。例え音楽が醸し 出すイメージが映像的であったとしても、「映画」を持つ者から見れば、彼は異教徒でしかない のです。

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先日、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンがSNS上で興味深い 発信をしました。発売された新作の宣伝として、一曲ごとによく合うホラー作品を紹介したのです。 『ブリングリング』のスコアを担当するなど、もともと映像への関心が深いアーティストである ことをご存知の方も多いかと思いますが、彼の一連の動きは、やはり「映画」を持たない者とし ての、そこに対する憧れや尊敬、あるいは郷愁を表しているように僕には思えます。

そんな彼に多大な影響を与えたブライアン・イーノは、聴感と視点の関係性を巡る作品を積極的 に生み出してきました。例えば迫り来るアンビエントの前夜を捉えた『ミュージック・フォー・ フィルムス』はそのタイトル通り、もともとは映像の為に生み出された作品でした。また奇しくも ダニエル・ロパティンと同じワープから発表された『スモール・クラフト・オン・ア・ミルク・ シー』は、イーノ自身が「音のみの映画」と呼んでいる通り、即興演奏を基に構成されながらも非 常に映像喚起的な世界観を抱えています。

映像と音楽の隔たりが明確には存在していない、あるいはそれを意識的に排除してきたイーノの感 受性が、他の音楽家に与えてきた影響は計り知れません。そして彼の蒔いた種は時に静謐に寄り 添い、時に驚くほど暴力的に振る舞いながら、散らばった先々で姿かたちを自在に変容させた多 彩な花へと成長しました。言うまでもなく、その一人がダニエル・ロパティンであり、そしてコ リンズ・リンチ・ワトソンという存在です。

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ピアノ、ギター、ヴァイオリン(ヴィオラやウッドベースも兼任)という編成が奏でる音は、それぞ れが粒子として空間に舞っていきます。時折独立して線を描くことはあっても、聴こえてくる音の 全てが線になることはありません。一つの音が線を描き始めると、その他の音は粒子のまま漂っ ているのです。そのため、聴こえてくる音同士の隙間は決して目立つわけでもなく、埋め尽くされ ているわけでもありません。ドラムやパーカッションがおらず、音楽に縦割りのリズム感が存在し ていないこともさらにその印象を深めていきます。

この音場とバランス感覚の鋭さは、イーノのアンビエント作品や、アルヴォ・ペルトの『鏡の中の 鏡』にも通じていますが、今作はそういった歴史的な作品の影響を丁寧に汲み取りながら、2000 年代以降の現代的な響きを獲得することにも成功しています。それは前述した特殊な編成もさる ことながら、彼らの最大の特徴とも言える、即興に重きを置いた音楽性が大きく影響しているの でしょう。本作の制作においても、一定のフレーズやコードだけを決め、そこに音を即興的に合 わせてレイヤーを重ねていく手法が用いられています。聴く限りでは、オーバーダビングは部分的 に施されている程度の印象です。

(これはどうやら都市伝説のようですが)映像を観ながらバンドの即興演奏を重ねていったジャ ズの帝王の音楽には、明確なリズムがありました。同じように映像を観ながらエレキギターのノ イズで音響を満たしたシンガーソングライターはしかし、ひとりきりで演奏しています。このよう に「映画」のために創られた他の即興音楽と比較してみると、三名のアンサンブルによる即興へ の強いこだわりや、映像という想像の源流が存在しない点を通じて、彼らの独自性がより明らか になっていきます。そんな彼らが「サウンドトラック・アンサンブル」を自称することも、非常 にユニークではないでしょうか。しかし言われてみれば、彼らの音楽には動き回る自分自身の視 点はありません。それは静かに佇み、あるいは漂白している視点と、その先で絶えなく動き回る 景色を描いています。それをサウンドトラックと表現する感性は、実に無垢で素敵です。

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1920年代にトーキーが登場して以来、「映画」において映像と音楽は双子の兄弟になりました。 そして今では、そのどちらかを切り離した状態での考察はできません。例え「映画」に音が存在 しなかろうと、僕たちはその欠損に自然と意識を傾けるようになっているのですから。「はじめから何もないこと」と「あるはずのものがないこと」は大きく異なります。4分33秒の創られ た静寂のように。そして、サウンドトラックの棚にぽっかりと空いたCD1枚分の空白のように。

双子の片割れを置いてきぼりにして、この音楽は生まれ落ちてきてしまいました。そしてあたかも 自分の居場所を知らせようと、音楽は今も奏でられ続けています。彼は望んでいるのでしょうか。 かつて胎盤の中で同じ時を過ごしたはずが、何故だか生まれてくることなく、そしてそれ故に死ぬ ことも許されない双子との再会を。そしてそれはいずれ叶うと、妄信しているのでしょうか。

僕は考えずにはいられません。 双子たちがどこかで再会を果たした時、音楽は何かしらの変化を起こすのでしょうか。 別の何かにその身を変え、たちまちこの繊細さや美しさは失われてしまうのでしょうか。 しかし、それは神のみぞ知ることです。そしてそれ以上に大切で、確かなこともあります。 この響きはまるで子守唄のように、双子のどちらにも祝福を与えてくれるのだ、と。


COLLINS LYNCH WATSON

 

Official: http://slowdissolveband.com/​

 

2014年オーストラリアにて結成。
オーストラリアの新鋭アーティスト、Andrew Watson率いるポストクラシカル・トリオ・プロジェクト。
柔らかくも生々しいピアノ、テクスチュアルなループとノスタルジアを感じさせるギター、遠く囁くように響くストリングス。シンプルな編成ながらもBrian Enoの即興性と実験性を内包しつつ、どこかThe NekcsやDiry Threeなど、オーストラリアの原風景を思い起こさせるサウンドが評価されている。
COLLINS LYNCH WATSON is an instrumental soundtrack ensemble from Melbourne, Australia formed in late 2014 by multi instrumentalists Nathan Collins, Chris Lynch & Andrew Watson.
Mixing Piano, strings and guitar with textural loops, COLLINS LYNCH WATSON evokes soundtracks to movies yet to be scripted, first kisses yet to be dared kissed and all the heartbreaks that will inevitably follow. Using with a blend of piano, violin, guitar and sonic textures, their sound has been said to recall Australian forebears such as The Necks & Dirty Three through a prism of influence from the works of Brian Eno, Yann Tiersen, Gusavo Santaolalla and other further afield influences.

 

 

Left to Right – Nathan Collins, Christopher Lynch & Andrew Watson

 

Andrew Watson -compose,strings-
「The man who wasn’t there」名義としても知られるAndrew Watson。バイオリン、ギター、ノイズやループ音を巧みに操り、メルボルン王立展示場やパナジビーチ(インド)に至るまであらゆる場所でライヴを行う精力的な活動が話題に。
2,014年にはASTI(Acid Survivors Trust International www.acidviolence.org)への募金プロジェクトとして、詩人Emilie Zoey Bakerとのコロボレーション映像作品「Dear All The Women Who Ever Existed Over The Entire Span Of Human History」(人類史に存在したすべての女性へ捧げる)への楽曲提供も行う。
メルボルン国際アートフェスティバル内で行われたライヴイヴェント「Elemental」ではWaywardbreed, Empire of Poets, Midnight Scavengers, The Single Men’s Drinking Club, Broken Flight,Monty Sparrow, Jack on Fire, Philemon and Vampilliaとの共演も果たす。

Nathan Collins -piano-
大学教授の傍ら活動を続ける異色のアーティスト。Tamas Wells bandの一員として幾度となく来日しているNathan Collins。2,014年の来日時には神谷町光明寺公演にてn.mark名義としてソロピアノによるオープニングアクトを披露。
https://nmark.bandcamp.com/
Chris Lynch -guiter-
同じくTamas Wells bandの一員として絶大な支持を得ているChirs Lynch。自身のバンド「brocken flight」としても精力的に活動を続ける。
Andrewとともに「Elemental」にも出演。
https://brokenflight.bandcamp.com/