Orb


Title : Orb
Artist : Miyu Hosoi
Cat No : SVTP-007
Release Date : June 15th 2019
Format : Sacoche with CD/Digital
Recorded & Mixed  :  Toshihiko Kasai at studio ATLIO/M4 Recorded : Yuta Bandoh, Mixed : Yuta Bandoh, Toshihiko Kasai
Mastered : Moe Kazawa studio ATLIO
Recording assisted : Iizuka Akihiro studio ATLIO
Voices  :  Miyu Hosoi
Composer : M1 Shun Ishiwaka/M2 Ayatake Ezaki/M3 Yusuke Lawrence Kato/M4 Yuta Bandoh/M5 Miyu Hosoi/M6 Chikara Uemizutaru
3D Sound System : Jiro Kubo (acousticfield)
3D Audio Designer : Misaki Hasuo
Reverberation Room : ONO SOKKI CO., LTD
Disc ​Artwork : Isao Konuki
Sacoche : UNNUN
Digital Art Work : Isako Konuki
Track list
1. Chant
2. Jardin
3. Rovina
4. Fonis
5. Orb
6. Lenna(HPL22 Ver.)

 

Digital Release Art work

-見渡す限り遮るもののない景色、雪景色のような白く時に厳しいような-

Miyu Hosoiの作品には、
原始的ゆえの圧倒的な美しさが込められています。
冷たく、時に刺すように清冽な声。
打ち寄せるさざ波のように響いてくる音像。
世界的にも例が少ない22.2ch音源と、HPL22音源を含む
Miyu Hosoiが表現するJuvenileは、汚れのない、
神々しささえ漂う純粋さをもって、根源的な強さを秘めた
少年の心を思い起こさせてくれます。

自身の発する声のみで表現するという制限のもと制作された本作、Miyu Hosoiは自身初のフルアルバムとして声の文脈も加味したストーリーを表現したかったといいます。
それは単に音楽的な文脈のことを指すのではなく、声を幾重にも重ねることに端を発したアナログ的なアプローチから、メディアの力を借りた最新のテクノロジーまで、複数の方向性で声の可能性を提示できるようにすることでした。

清冽な湧き水の一滴のように澄んだ響きを残すM1 『Chant』。単旋律からポリフォニーへ進化していく様子を1枚のアルバムの中で表現したかったという彼女は、この曲を特殊な残響のある部屋で収録し、イコライザーやリバーブを使用せず、収録された声をそのまま活かす方法を採用しました。本作品の1曲めにふさわしい、生まれたままの純粋さ、静けさが極限まで追求された楽曲と言えるかもしれません。
雨の日の庭を想像して制作したというM2 『Jardin』は、唯一感情を全面に出して録音したと語っています。楽曲中盤では水があふれるようなイメージを、クラシックな譜面のアプローチながらエフェクティブなシーンをも取り込み見事に表現しています。
続くM3『Rovina』では、マイクとの距離やブレスの強弱、増減を巧みに使い分け、1人で表現できる声の多様性について追求したといいます。多重録音ならではの多面的な遊び心をのぞかせながらも、不思議と一体感を感じさせる1曲となった点において制作チームも良い意味で想定外だったそう。
M4『Fonis』では今まので声楽的な作風を一新し、声を素材としてサンプリング、エディットすることで、声の可能性を拡大することに成功しています。声を楽器に似せるのではなく、声そのものが音を奏でられるインストゥメンタルの一種であるという原点に立ち返る姿勢を示しているようにも見えます。自身で作曲したというアルバムタイトルを冠したM5『Orb』。天体、球というイメージから、アルバムを通して感じられる一本の道筋の周りに、発せられた音が周回するような感覚で制作したと語っています。音楽と音の境界をゆっくり行き来するような、自転と公転を遠くから眺めている様なさまを思い起こさせます。
22.2chをHPL22で収録したM6『Lenna』は、現代のテクノロジーを用いた空間表現において人の声で表現できる幅を押し広げました。作曲を担当した上水樽氏の「ダイナミックレンジ、音域、モノラル、サラウンドを含んだ空間レンジを最大限に活かすよう作曲しました。」という言葉通り限りなく実験的な作品であるにもかかわらず、一方でミックスを担当した蓮尾氏の「音楽を空間の広さ、狭さ、粗と密、静と動で表現したいと思いました。あくまで音楽でであることを念頭にバランスをとることを目指しました。」という言葉からも、この楽曲が音楽的にも高度に完成されており、まるで個々の音声データが人格を持っているかのように、時に人を惹きつけ、また置き去りにしていくようなJuvenileの挑戦的な側面を体現していると言えるでしょう。

音が水のように溢れ、流れを作り、満たされていくような感覚に捕らわれるかもしれません。清冽で、ささるほど冷たい、凛とした佇まいの水。
Miyu Hosoiが表現するJuvenileが余すところなく収められた1枚です。

 

M6 「Lenna」クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでの公開に関しまして

アルバムに収録されておりますM6 「Lenna」(作曲:上水樽力)の22.2ch 48kHz 24bitデータに関しましては、アーティストおよび制作チームの意向により、研究開発などでもお役立ていただけるようにクリエイティブ・コモンズ・ライセンス下にて公開いたします。
下記フォームより、お名前、ご連絡先、所属、利用目的を明記の上送信ください。
後日ダウンロード用のリンクをお送りいたします。
入力いただいた個人情報は、ライセンス条件に変更が生じた場合や、適正でない利用が判明した際にご連絡を差し上げる場合のみに使用し、それ以外の目的で収集、使用するものではございません。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

「Lennaというタイトルは、画像処理論文などでよく用いられるサンプル画像に写っている女性の名前にちなんでいます。この作品も、そんなLennaのように多くの方に研究開発に用いられ、音をつくる環境・聴く環境を考え実践するための素材としていかされてほしいと思っています。
私はマルチチャンネルを普及させたいというようなモチベーションはなく、ただ音を聴く環境について考えるきっかけをつくりたいという気持ちでLennaを制作しました。今この時代に生きているので22.2chというフォーマットを採用しましたが、もしこれが50年後だったらまた違ったと思います。
素晴らしい技術が次々と生み出されるなか、コンテンツが追いついていないのでは?というのが制作の原点でした。これまでのコンテンツを否定しているわけではなく、制作環境の解放が必要だと思ったのです。技術だけではなく、表現と技術がお互いを高め合う環境が、今後進化していくことを願っています。技術の力で強くなったコンテンツは、その技術が更新された時に強さを失います。
表現したいことを実現させるのにベストな技術を選択し真摯に取り組むことが、技術開発者への最大のリスペクトであり、表現者としてのプライドだと私は思っています。
最後に、Lennaは今後、いろいろなフォーマットで展開されていきますが、正解も最善もありません。その場その場の私にとってのベストを展示していきますが、鑑賞者によって感想はもちろん異なると思います。みなさんにとっていちばんのLennaを創作していただけたら嬉しいです。
未来の素晴らしい作品のために、微力ではありますが、公開します。
快諾してくださった制作チームにこの場を借りて感謝申し上げます。」—–細井美裕

制作チームクレジット
※利用の際はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに則り、下記クレジットを明記してください。

Lenna(2019)
Concept&Voices&Recorded : 細井美裕
Composer : 上水樽力
Mixed : 葛西敏彦 (studio ATLIO),蓮尾美沙希
Mastered : 風間萌(studio ATLIO)
Recording assisted : 飯塚晃弘(studio ATLIO)
3D Audio Designer : 蓮尾美沙希
3D Sound System :久保二朗 (株式会社アコースティックフィールド)

The view sounds unobstructed, as though you could see through a cruel white snowstorm.

In Miyu Hosoi’s work, you feel an overwhelming beauty from the primitive sounds. Her sharp voice has a clean, cold feeling that echoes like a wave.

Globally, there are few other examples of music that use both 22.2 ch and HPL 22 sound sources. Hosoi uses them to express her own youth, giving audiences a sense of pristine and divine purity reminiscent of innocent childhood.

Hosoi created this album using only her own voice; she stated that she wanted to express a story using only vocals for her first full album. This does not simply refer to the musical context, but also to her analog approach, which consists of layering multiple voices in multiple directions using the latest media technology.
The first track on the album, “Chant,” has a clear sound, like a drop of clean spring water. Hosoi wanted to express an evolution from monotony to polyphony over the course of the album, so she recorded this song in a room with a special reverberation and then used her recorded voice without any equalizer or reverb effects. The result is appropriate for the first song of the album.
Hosoi created the second track, “Jardin,” by imagining a garden on a rainy day. She has stated that this is the only track on the album that she recorded emotionally. The middle part of the song is filled with images of water, and it captures the effect of the scene using a wonderfully expressed classical music score.
In the third track, “Rovina,” Hosoi pursues a greater diversity of voice by incorporating different approaches to the microphone, strengths of breath, and increases and decreases. In Track 4, “Fonis,” she has a renewed vocal style and expands the possibilities of her voice by using pre-recorded samples and edits of her voice as additional material. Instead of attempting to make her voice resemble an instrument, this approach seems to suggest the older view that the voice itself is a musical instrument.
Track 5, “Orb,” is also the title of the album. Hosoi composed this song entirely by herself. This track brings the album full circle and evokes a sense of the entire album’s sound having circulated through single route—as though through an orb.
Track 6, “Lenna,” was recorded with 22.2 ch and HPL 22, and it uses this modern technology to expand the human voice’s natural range of expression. The piece was composed by Uemizutaru, who stated that “I composed this piece to make the most of spatial range, including dynamic range, pitch, monaural, and surround sound.” The song was mixed by Hasuo, who noted that “I wanted to express music with a sense of space, narrowness, coarseness and density, stasis and dynamism. I aimed to balance this with the knowledge.” It can therefore be understood that this piece was structured with a highly technical approach. The result is attractive, and it feels as though each component has a unique personality, embodying a challenging aspect of youth.
Overall, the album creates a feeling of fulfillment that seems to trap the listener. Its sounds evoke the flow and even flood of water—water that is clean and cold. Throughout, Hosoi successfully expresses a sense of youth.



Miyu Hosoi

 

Official: http://miyuhosoi.com/

 

1993年愛知県生まれ。
慶應義塾大学総合政策学部卒業。高校時代合唱をきっかけに現代音楽に触れ始め、大学在学中からヴォイス・プレイヤーとして数々の楽曲、ライヴ、サウンド・インスタレーションに参加。また音楽家としてのバックグラウンドを活かした企画で、ミュージシャンとテクノロジストとの橋渡しを行ないながら、オーディオビジュアルの分野でユニークなコンテンツを生み出している。
NTT ICC オープン・スペース2019「別の見方で」では無響室にて22.2chで制作した声のみの作品”Lenna”を再構築し展示を行う。

English will be available soon.